最近、中也と龍ちゃんはわたしのベッドで寝なくなった。眠りに来なくなって心配したけど、ちゃんと自室で寝ているらしい。流石森さんだ。色々改善されたんだろう。でもそれで何故ここで寝なくなるんだ。
理由を聞くとなんだかごにょごにょ言って拗ねて、でも寝なきゃいいだけだからとかなんとか言ってやっぱり部屋には入ってくる。
記憶がなくて心細いところもあったので、一緒に寝てくれるのは素直にありがたかったのに。
誰かと寝るのに慣れてしまうとひとりで寝るのが寂しくなってくる。でも改善の結果ならワガママばかりも言っていられないしなぁー
「てわけでパジャマパーティーしない?」
「は?」
「やっぱりだめか」
「今日な今日やるぞ」
「めちゃめちゃ乗り気だった」
「龍ちゃん今日パジャマパーティーしない?」
「ぱじゃま」
「うん」
「ぱーてぃ」
「うん!」
「………………??? やります」
「おっ!」
「持ち物は、裁縫道具ですか」
「おっ?」
一緒に寝ないなら寝ないで、パジャマパーティーくらいすっか。と考えた。
どうやら二人もそれなりに寂しかったらしい(うれしい)。パジャマパーティーが何かわかっていても何にもわかんなくてもすぐに了承してくれた。
さて肝心のパジャマだが、中也のパジャマ姿はある程度は見慣れているというか、まあ一緒に寝てたんだし何度か見てるから当然だよねというかんじである。
けど龍ちゃんは大抵お昼の格好のまま倒れるように寝ちゃうので、わたしか中也が貸したパジャマに身を包んでいるところしか見たことがない。ていうか、自分のパジャマというものを用意してちゃんと着る機会があるのかというところから疑問ではある。
こうなったら、折角だしみんなでパジャマパーティー用のパジャマを買っちゃうのはどうだろう?
というわけで森さんに3人でお出かけできないか聞いてみた。
「通販じゃダメなの? 好きに注文して良いんだよ」
ちがうちがう。通販で手に入るような量産型のパジャマじゃなくて、オリジナリティ溢れる個人店とかを探して買わなければパーティーに味が出ない。
「オリジナリティ溢れるパジャマって何?」
そんなの探しに行かないとわかんないでしょ。いやいやこれは決してお出かけが目的ではなくあくまでもオリジナリティ溢れるパジャマを買うためにお出かけが必要なだけであって。
「ダメだね」
なんだって。
「そんなにオリジナリティがほしいなら縫ってあげようか?」
なんだって!?
これをダシにして外出許可が下りないかという淡くも粘り強い期待をぶち壊されつつ、そののちそんなことはどうでも良くなる衝撃を受けた。
「縫合とかよくやってたから、好きなデザイン描いてくれれば仕立ててあげるよ」
「マ?」
「マ……? えっとマジって意味かな、そうだよね多分そう、マ」
すごい。この人すごいぞ結構なんでもできる。
「じゃあ……うーん形はまあシンプルにこんなで……色はそれぞれ……」
「ふんふん」
「あと、縫うなら一緒にやりたい。どうせなら森さんのも一緒に作ろう」
「え。……ふふ。良いのかい? じゃあ、一緒にがんばろう。……」
「というわけで出来たのがこれ!」
「着ないで永久保存しちゃ駄目か?」
「(頷き)」
「なんで!?!!?」
それでやっとこさ出来上がったパジャマを2人に差し出したところ、なんか思ってた反応と違った。
「せっかくなら着てよー」
「いや嬉しいけどよ……嬉しすぎっつーか……気軽には着れねえよ」
なんてこったい。
本来寛げるように着るはずのパジャマだけど、どうやら気合いを入れすぎてしまったようだ。
「えーじゃあとりあえず今回のパジャマパーティーは着ようよ!!」
「んー……まあ、折角だしな……今回だけなら、まあ」
「(よごさないかふあんなかお)」
「そんな……また作るのにい」
不安げな顔の龍ちゃんをなでこなでこしつつ、ひとまずパジャマパーティーでは着てくれるらしいのでこれ以上食い下がるのはやめておいた。
それから3人で楽しく夜を過ごした。割と好き勝手やった。ポテチにチョコにポップコーン……しかし、パジャマパーティーということで、どうしても宅配ピザを食べたかったのでウビャライーツで注文してもらったところ、何回やっても無事に届かなかった。今現在も5人目の運び人、タケシが目的地周辺をウロウロとしては離れていってしまう。
「なんでだろ? 住所間違ってるんじゃない?」
「合ってます」
「此処にピザ届けられる度胸あるヤツ居なくねーか?」